大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)836 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人梶谷丈夫同佐藤章の上告理由第一点について。

論旨は原判示には経験則に違背する違法があるというが、被上告人が空家の一棟

を引渡し、上告人が二五万円を支払つたということから、直ちに右を既に成立せる

売買契約の履行としてなされたものと断定しなければならないものとはいえない。

従つて原判決が右事実を認定しながら所論売買契約が成立しなかつたものと判示し

たからといつて所論の違法があるとはいえない。

同第二点について。

論旨は、原判決が右甲第一号証があるにかかわらず、本件売買契約の成立を否定

したのは、明白な書証の趣旨に反して事実を認定した違法があると主張するけれど

も、同号証があるからといつて売買成立の事実を肯認しなければならないものとは

いえないから、所論は結局において証拠の採否、事実認定を非難するに帰し、採用

することができない。

同第三点について。

昭和三元年六月一三日附上告人提出の準備書面に、所論のような記載があり、同

日の口頭弁論において右準備書面に基く陳述がなされていることは記録上明らかで

あるが、所論の事実は単なる事情として述べられたものと解すべきであるばかりで

なく、右事実があつても直ちに本件売買の成立を肯認しなければならないものとは

いえないから原判決には所論のような違法はない。

同第四点について。

所論は必ずしも原判決の結論に影響があるとはいえない原判示の違法を主張する

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ものでもあり、かつ、原判示事実の下において所論の原判示を違法とすることはで

きない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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